喜びの村
和田カマリ

郷里は紅葉を敷き詰めた樽のようで
56人の農民が日本サンダルで歩く
喜びの村だった

手には23個のアホー
流れていく寒い雲
貧しい町を通過して帰る
大きな川の秋は冷える

どちらが我が家だったか
崩れた2軒の庭で
花または月をレイプする風の波

闇のホイッスルは西を鳴らす
安酒と川魚でもてなす
旅の宿は昼間赤かった彼岸花の中
それが焼くすすきの群れ

美しい村
星あかりの夜
神の娘を照らす
残る月の秋に
古い書を読み耽る

南の良い星よ
心の蝶よ
三日月よ
君達は昼はどうしていた

秋の夜に思い出す夏の日の午後
アサガオあるいは
深いプールの色


自由詩 喜びの村 Copyright 和田カマリ 2012-10-17 11:48:15
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