重力
nonya


9.8ニュートンの
朝を
蹴っ飛ばしたら
空元気いっぱいで
胸を張って
間違いだらけの
午前に
歩き出す

早くも重さを感じ始めた
午前を
乗り切ったら
不様な前のめりで
今にも沈みそうな
正午に
しがみつく

後ろ髪を引き千切られながら
正午から
剥がされたら
地面に引き寄せられるまま
義務にぬかるんだ
午後を
這いずる

無理難題を掻い潜って
午後を
生き延びたら
遠心力に焦れつつ
夕方を素通りして
宵の口に
紛れる

なけなしの権利で
宵の口を
ちびちび舐めても
加速度がつかない酔いに
ぶら下がることもできず
自分自身の重さで
真夜中を
落ちていく

仕方がないさ
飛べないのだから




自由詩 重力 Copyright nonya 2012-10-14 18:19:36
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