平井容子


かつて
のしかかる羽根だったもの

いつも
ふゆの景色に茜色を刷いていく
かろうじて開かれた膝のおく
凍える火を吸う唇がいう
「わたしたちは箱から飛びだした角のようなもの
いつだって勝っていて
そして湿っている」
そうしているうちにそれはわたしたちで
それは古い化粧をほどこされた母だった
トロ
それは踏んでもなおわらうもの
ついにここに横たわって
うるみ光る胞子を吐く
踊っている
子ら、手足、舞い散るステラ、その羽毛
うつくしい島を離れるとき
ひんやりとしたこころみをもって
わたしのあおいところを蹴った

そのさき








自由詩Copyright 平井容子 2012-10-13 21:41:49
notebook Home 戻る