月の滴る夜
nonya
すべらかな曲線の感触を
薬指は覚えている
残り香は闇にほどけて
薄らいでいくというのに
互いのささやかな湿度を
夜ごと貪り合った
決して同じではない温度が
夜ごと擦れ違った
先に醒めた者が
夜を支配する
月の満ち欠けも
潮の満ち干も
醒めない者は
浮力を奪われ
時の狭間に沈み込む
闇よりも深い影となって
カーテンの裂け目からのぞく
17番目の月
乱れた布に散りばめられた
おまえの破片と
見紛うばかりに仄白く
月は滴る
自由詩
月の滴る夜
Copyright
nonya
2012-10-11 21:52:30