冷たい歓楽


噴水の枯れた公園の溝で交換している。へばりついたしじまで億劫になっていく。
チョコの食べ過ぎで、覚えたての関係代名詞をすれ違いざまに渡されて。

誰もいなくても跳ねたがるバスケット・ボール
ポテトチップスの空き袋
枯れ葉のカウボーイ
単語たちのバトル・ロワイアル

ハイヨー、やがて死んだ遊園地で人文字を作る
コーヒーカップとメリーゴーランド
遊園地になる
粒子の詰まった瓶を銃弾めいたそぶりで振る
雪解けのうそが溶かす温度の真ん中で

(アパッチが近づいて、雄叫びを上げている。トサカが太陽に被って、やつらの顔を死人にした。ぼくたちはじっと塹壕を思い出す。日食を思い出す。)
(喉仏にひっついたチョコがとても重たくて、笑い声を上げるには遠すぎる。太陽に捕まりたくはなかった。)
(ちょうどぼくたちはそのとき、影絵を作りながら沈黙していた。巨大な沈黙が犬だった。犬は無垢に笑った。煙の味のするチョコをポケットに入れて。)

やわらいだ。息が固くなってしまった。手を突っ込んでまさぐっても湿り気。
それから教科書の数だけ重なった、だれかの舌打ちと声とを拾い集めている。



自由詩 冷たい歓楽 Copyright  2012-10-11 07:25:26
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