びっくり箱
林帯刀

雨音の向こうにばねじかけのびっくり箱
銅の色をしたワイヤーがくるくると
通りすがりの飼い主をひっかける
犬が戻ってほどきにかかり
一匹と一人は遠ざかる
開けてもらえぬびっくり箱は
しかたなくひとり口を開け
しかたなくひとりびっくりしておく
しかたなくひとり怪獣をしまい
たえぬ雨音に耳をすます
銅色のワイヤーがくるくると
今度はよっぱらいを狙っている


                                     2003/05/31


自由詩 びっくり箱 Copyright 林帯刀 2003-10-25 10:54:49
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