三人
いっと

〈私は〉
なだらかな丘陵であると認識した
柔肌の質感であると把握した
優しさであると思った

  匂いのする粒は圧縮され浸透していき
  並べられた音叉が音もなく倒れる

〈彼は〉
四角と円で構成した
月の傾きで占った
嘘臭い黒魔術を使うようだ

  サーモグラフィが監視を続け
  なめらかな記号で埋め尽くしていく

〈彼女の〉
生体に関する理化学的な状態
肖像に関する光学的な関心

〈彼の〉
目は、焦点を結ばない
肉体は焦げている
セックスは誰とも繋がっていない

〈ワタシの〉
ことは、忘れてください

〈彼女は〉
生まれた時から、粒子であった
声を出すことが出来なかった

  破瓜の痛みは、神話である

〈彼女は〉
目を瞑った
イメージを重ねても答えは出ないだろうとの答えを出した

  安直な隠喩への逃避は許されない
  強いられているのだ、この瞬間から


自由詩 三人 Copyright いっと 2012-10-10 20:48:01
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