** /紅葉/希望/夢/私
月乃助


 うつむいてばかりいて、
気づきませんでした



 見あげると
すべてを忘れさせてくれる 秋の空がありました
ぬけるような碧の その広がりは
人の小ささを教えてくれるために
あるのかもしれません


夏の 熱さばかりだった 紅茶が、
やっと 心をやすめるあたたかさを取り戻しました


 山は秋色を深め
少しばかりいそぎながら 頬を染めるように
色付きはじめた


 娘は、もっと小さな頃
この同じ場所で、たしかに
同じ午后の時
同じ空を 見ていた
それを思い出したのです


 子どもという 傍若な
あわいフィルタ‐の 瞳を通して
**を見ていた気がするのです


 一葉の最期に 美しさを鼓舞するのは、
命あるものの 定めのようなものなのですね
娘もまた 美しくありたいと願う
けして 容を愛でるためでなく
心の葉を色付かせる


 冬の 冷たい仕打ちがやってくるまで
ほんの一時 今日は、
山色に心を染めているのでした












自由詩 ** /紅葉/希望/夢/私 Copyright 月乃助 2012-10-10 14:22:00
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