りんごうさぎ
umineko
母の作る
遠足のお弁当
いつでもそこには
りんごのうさぎ
黄色い躯体に
赤い耳
役に立たない耳の端(は)を
世界に
ぴん、とそばだてて
ああ
君がいるだけで
私は
少しうれしくなった
今日はたぶん特別な日
楽しんでねって 母のエールだ
そうして
私は大人になって
ときおり
君を思い出す
たとえば
貴方が遠くを見てる
どうしていいかわからない
りんごうさぎ
君の出番だ
役に立たない耳の端(は)を
世界に
ぴん、とそばだてて
大丈夫
大丈夫だよ
私は
つましいりんごのうさぎ
微笑みながら朽ちていく