ひかり めぐり Ⅴ
木立 悟
午後に流れる
偽り無きもの
門の上の鳥
泉は鳴いて
見えない冠のうたううた
影が切り取る街の陰
空から 地から
泡の振動
水にひらく
誰かの手
島の昼の径
溶けては草を枯らす声
南から来る雨
石壁と水路を照らす指
硝子に映る花を切り取り
淡くはにかむ笑みを造る
霧を見上げる霧の目の先
むらさきを囲む陽を囲むむらさき
手のひらのかたちの空の湿地から
滴になる前の笛を吹く
片目をすぎる北の曇
天気雨の巣のふるえとふるえ
午後をなぞる指の跡
返らぬ応えを待つものに降る
自由詩
ひかり めぐり Ⅴ
Copyright
木立 悟
2012-10-07 22:39:55
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