砂の城をもう一度
カマキリ

ここはかさぶたのない場所だ

えぐられた何かを振り返っては
また一つ、言えないものが増えるのだ

深海に落ちている忘れ物

ため息が道をひらいて

君の肩に不安なものをのせている

記号じみた暖簾をかき分けて
今までという言葉に蓋をかける

つぶつぶが嫌いな人のために
ひとかけらが苦手な人のために
あたためておいた飲み物を渡すのだ


旅人は狂ってしまって

くだけた円盤の上に座っている

怒りで細胞を燃やしてしまったぼくはこのありさまで

屈辱を楽しいものに変える回路を探している

大事な処方箋を預けていたのだが

ここはかさぶたのない場所だった

途方に暮れたぼくは

見えもしない誰かと砂の城を壊し続けている


自由詩 砂の城をもう一度 Copyright カマキリ 2012-10-06 20:22:17
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