メモ
モリマサ公

元気よくそらにむかって目玉たちは落ちてゆく
音のするほうへ飛ぶことに
慣れてしまったからだから
重力のための地図がまぶしくひろがって

ビルが生え変わる
あたり一面
びっしりと背をのばし
意味のわからない記号てきな
何本もの地平線がのびてにじんではりつく

電車はスピードをあげて
飛行機が浮き上がり
車は燃えてる

ガラス窓われちゃった
目をつぶればうらがわにかがやく
あたたかな星と星つなげながら
はいいろの皮膚はどこまでもぷにぷに

わたしたちはみんなどこか欠けていた


つめたく柔らかな
汗がからまって
まっさおに流れて川になる


誰かのものだったり
誰のものでもなかったりする声
くりかえしている
くりかえしながら
欠けている



あかりがはじけて
暗闇のチェインソウが鳴る
町の底
いろとりどりの旗がゆれて
水玉模様にのめりこむ顔たち
うらがわを
捨てられた時間が
およいでる


わたしたちはみんなどこか欠けていた


むこうには誰もいなかった
あそこには誰もこなかった




死んだ猫の瞳あいたまま
海にとびこんで喪服が重くなる


わたしたちはみんなどこか欠けていた


むこうには誰もいなかった
あそこには誰もこなかった




 
 


自由詩 メモ Copyright モリマサ公 2012-10-05 21:44:51
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