蕁麻疹
夏美かをる

―適応―
異国で生き抜くために身に付けた術

外国なのだもの、
文化も生活習慣も考え方も
違って当たり前
違いにいちいち目くじら立てていたって
所詮何ひとつ解決しない
抵抗は余計な葛藤を生み
不必要なエネルギーを使うだけ

違っていても‘こういうものなのだ’と受け入れ
郷に入りては郷に従って
するり するりと生きていく

その方がずっと楽
その方がもっと幸せになれる…
どこだって住めば都

と思っていた

その矢先、

突然できた蕁麻疹

ドクターに診てもらっても原因不明
何らかのアレルギー反応らいしけど
一体何の?
大体 あんな彫り深い顔で“I don't know why."と言い切られたら
それ以上突っ込めない私 日本人

それにしても治らない
痒くて 痒くてたまらない
眠れない

私の意識の全く届かないところで
私の体が異物を捉え
排除しようと戦っている

60兆個あるという私の細胞が
一致団結して
適応を拒んでいる…
みたいだ

どうしよう、
どうしよう…
蕁麻疹がいつまでも治らない


自由詩 蕁麻疹 Copyright 夏美かをる 2012-10-05 13:36:53
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