唱えよその心鳴を
高原漣

蒼い光りに照らされてさまよう

帰る場所のない人たち

一様におし黙って

立ちならぶ電柱の合間を

ぼんやりした駅のホームを

一定の歩調で脚をひきずるように

歩く

本当の顔を喪った人たち

その心は波に洗われたガラスのよう

丸く角は取れて

濁って

砂の中にまぎれて落ちている。

その悲鳴は押し殺した空襲警報のよう

くぐもって

誰も聞き届けることのない

遠雷の中にまぎれている。


ランウェイ119クリアトゥテイクオフ

ターンオン/スタンドアロンOK

さあ今こそ唱えよその心鳴を

拍動を再開せよ

拍動を再開せよ

拍動を再開せよ


自由詩 唱えよその心鳴を Copyright 高原漣 2012-10-02 20:33:01
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