黒焦げ
三田九郎

人生に放火して黒焦げになった

うつろな影をひっつけてずるずる歩く

酸いも甘いもあいまいだ

夢も希望もあいまいだ

焦げた歴史がべりべりと剥がれ落ち

心の暗黒だけが確固としてここにいる

芯まで煤になっちまった

微風で解けそうな身体を引き摺り

あいまいな日々に一条の光

幻影かもしれないものに

魂が追いすがる

まだ

まだ

死んではいない


自由詩 黒焦げ Copyright 三田九郎 2012-10-01 23:25:53
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