仲秋の夜に
ぎへいじ


月よ お前様は 自ら輝く事も出来ない身の上だと言うのに

借り物の服を着て

ものまねの明かりの下に 私を座らせて この めくるめぐる思いを

ただ 寂しいよ と一言だけ 言わせて 癒やしてしまう





月よ お前様よ

借り物の服も 明かりも 奪われ様としているのに

その光と影の境界線に 私の心を誘い込んで この どうしようも無い思いさえ

私に かなしいよ
と一言だけ言わせて 慰めてしまう



古い便箋の上に置かれた
コーヒーカップを思い出す
少しだけずらして


そう ほんの少しだけ心を動かして
その真新しい白さと色あせた時間の境で詩を唄いたい


けれども この月明かりの下ではお前様の裏側を想うことなど出来なくて

しびれた唇で湯を すする様に ただ美しい
としかいえない自分が残念でしょうがないのです


それでも
また 最初から いろんな方々から 言葉を貸していただきながら 子供が見よう見まねで服を着る様に…


とにかく
今夜は お前様に会えて良かった

ただそれだけを伝えたくて待っていたのです



風が雲を運んで来ましたね

明日は雨です




自由詩 仲秋の夜に Copyright ぎへいじ 2012-10-01 20:55:55
notebook Home 戻る