地下世界の大地図 / 鉛筆を握りしめて
beebee







小学生になった子供の頃
よく新聞に挟まれてくるチラシの裏に地下世界を書いた。

それは壮大な地図で
地上世界の下にもう一つの世界があるというものだ。
中心に大きな近代施設があって一緒になった集合住宅がある。
そこはオートメーションの大工場でもあるのだ。
出口からはロボットの大行進が始まる。
鉄道と高速道路がそこから周囲に広がって行って、
周辺の色々な施設と地下で繋がって行く。

学校や研究所があって、
建物は地下に伸びて何十階にも何百階にも伸びていく。
地球防衛隊もなぜか地下に基地があって、
宇宙に向かってミサイルが飛んで行くのだ。
大きなデパートがあって、
逆さまになった屋上に遊園地が拡がって行く。
ジェットコースターに歓声を上げて、
ぼくの視界は回転するんだ。

超高速エレベーターが地上と地下世界を繋いでいる。
地下世界にも人工の太陽や雲があって青空が広がっていた。
その底には大木が伸びていて熱帯雨林が地下の川に沿って広がっていた。
大きな足と大きな口のワニや頭でっかちのキリンがのしのし歩いている。
学校の近くにも大きな世界一の水族館があるんだけど、気にしないで。
シロクマの背中に乗ったアザラシの上をイルカ達が飛び越えた行く。
その時『グワー』と叫び声が上がって、
その大文字の横には翼竜が飛んでいた。

紙の余白の全てを使って隅から隅へ広がっていく世界があった。
だからスーパーのチラシなんかよりずっと大きな
使い古しのカレンダーが大好きだった。
兄ちゃんの部屋からはがしたポスターが大好きだった。
カレンダーやポスターの裏はてかてかしていて、
鉛筆がうすく滑っていく。
ぼくは幸せいっぱいで鉛筆を握りしめ
畳の上で世界創造に励むんだ。
ぼくは世界の神様のように何でもできた。

完成!!

でも完成したんだけどここまで来るとぼくは満足して、
次の地下世界の絵に取り掛かるんだ。
どうしてあの頃は何枚も何枚も飽きないで書くことができたんだろう。
どうして地下世界だったんだろう、分らないけど、でも、
思い出すと何だか今のぼくにも力が出てきたような気がするんだ。
さぁ、リングノートを持って来い!
世界を創り出そう!

って、凄んで見たりして  ヽ(ー_ー )ノ



自由詩 地下世界の大地図 / 鉛筆を握りしめて Copyright beebee 2012-10-01 01:32:09
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