歩行者天国
Seia


道路の真ん中で寝転ぶ事に
こんなに開放感があるなんて
知らなかったよ

何かを見たり見なかったりで
ぼうっとしてる私を
見知らぬ誰かが続々とまたいでいく


この歩行者天国は一方通行だ

誰も来た道を戻らないし戻れない

戻ろうと試みた者は居るけど

立ち止まる事で精一杯だった


私を遠くで待っている人が
かすかに影になって揺れている 陽炎
手を振っているのか
あるいは呼んでいるのか
はたまた見守ってくれているのか


この歩行者天国を歩きだして
どれくらい経っただろうか
どれくらい進んだのか

何度か立ち止まってはみたけど
大の字になって寝転ぶ事は
これが初めてじゃないだろうか


全速力で人混みを駆け抜けていく人

ペースメーカーを連れている人

団体で団子になっている人達

なかなか前へいけない私のような人


一緒にゴールしようねと言ったあの子は
いつの間にか見えなくなっていた 嘘つき
まぁ、それはいいんだけど
私に愛想を尽かしたとして
仕様の無い事だよ、きっと


もうすこし、こうしていよう。

空気は汚いけど、

アスファルトも固いけど、

たまに踏まれるけど、

空だけは、きれい。


自由詩 歩行者天国 Copyright Seia 2012-09-30 02:11:50
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