歩行者天国
Seia
道路の真ん中で寝転ぶ事に
こんなに開放感があるなんて
知らなかったよ
何かを見たり見なかったりで
ぼうっとしてる私を
見知らぬ誰かが続々とまたいでいく
この歩行者天国は一方通行だ
誰も来た道を戻らないし戻れない
戻ろうと試みた者は居るけど
立ち止まる事で精一杯だった
私を遠くで待っている人が
かすかに影になって揺れている 陽炎
手を振っているのか
あるいは呼んでいるのか
はたまた見守ってくれているのか
この歩行者天国を歩きだして
どれくらい経っただろうか
どれくらい進んだのか
何度か立ち止まってはみたけど
大の字になって寝転ぶ事は
これが初めてじゃないだろうか
全速力で人混みを駆け抜けていく人
ペースメーカーを連れている人
団体で団子になっている人達
なかなか前へいけない私のような人
一緒にゴールしようねと言ったあの子は
いつの間にか見えなくなっていた 嘘つき
まぁ、それはいいんだけど
私に愛想を尽かしたとして
仕様の無い事だよ、きっと
もうすこし、こうしていよう。
空気は汚いけど、
アスファルトも固いけど、
たまに踏まれるけど、
空だけは、きれい。