不出来
智鶴

激しい雨音が心臓を掻き消して
夜の中震える僕を殺した
居なくなれないのは
幸せなことだろう

嘘が空に映って
哀しいことは忘れていくだけだ
流れる時間と
摩擦していく昨日を
毎日が死んでいくことに期待した
何も委ねられない僕等だ

嘘が重なって僕を裏切った
夜の中、消えない存在を憎んだのは
僕の理由

昨日が怖くて明日を願って
朝が憎いと夜を招いた
今在る価値を見出せなくて
不確かなまま眼を凝らしている

嘘を失くして誤魔化せない日を
昨日のせいだと
また嘘を吐く
肩を落として死んでいく僕等は
凍える花も救えない
何も出来ない
満足に生きることすら

世界に埋もれて死んでいく為に
今日も明日も恐れて生きている
僕が哀しくて
眼を伏せた世界で
明日が怖くて昨日が憎くて
夜が狭いと朝に逃げ込む

何も出来ないと
嘆くしか出来ない
僕だ


自由詩 不出来 Copyright 智鶴 2012-09-30 00:13:54
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