心が空いた
nonya
雨が降るたび遠ざかった
憎らしくて愛しいあなたの
後ろ姿はもう見えない
季節は容赦なく巡って
人は戸惑いながら巡って
届かない想いだけが残される
さらさらとした喪失感と
ひんやりとした安堵感が
長袖のシャツを透過する
百貨店のディスプレイに
やっと追いついた季節が
心の余白をつけ狙っている
言い訳めいた長文メールの
返信の温度が低すぎて
心が鳴った
外し忘れた風鈴のように
言いそびれた本音の泡を
独り言に変えていたら
心が空いた
情けないくらいペコペコに
満たしたい
あわよくば満たされたい
でも言葉はいらない
熱くてとびっきり苦い
コーヒーが欲しい