【 ドブの水 】
泡沫恋歌

強烈な腐敗臭がする
淀んだ汚いドブの水に
長い間 私は浮かんでいた

そこから見える空は
暗雲に隠れて 鈍い光を放つ
偽者の太陽だった――

這い出そうとすれば
誰かが足を引っ張って
覆い被さり離してくれない
私を沈めようとする
悪意の掌が そこに無数あった

いつも息を殺していた
見ないように 感じないように
汚いものに蓋をして
心にフィルターをかけて
自分を守っていたら……

月を見ても 星を見ても
空を見上げても
詩人なのに
何らの感慨も湧かなくなった

私の心が汚染された
コトバが出ない コトバが来ない
イメージが浮かばない
とうとう
詩人の魂が死んでしまった!

いつか もう一度
自分のコトバを取り戻そうと
詩人は再び復活を願って
今 心のリハビリをやっている



自由詩 【 ドブの水 】 Copyright 泡沫恋歌 2012-09-26 07:21:39
notebook Home 戻る