マツムシ草
ぎへいじ

見上げた灰色の空に

風が答えるように 霧雨をよび込む

屋根岩二峰

小さな張り出しの下にたどり着いても

漂う水滴から 逃げる事はできない


吸う息も 吐く息も
踏みしめる大地の音さえも湿り
僕の空はここには無い



名前は


知っている者達も
知らない人々も 寒さにふるえながら通りすぎる


今、心の置き場を見つけたこの花だけが
今日の青い空をかなえて くれている



濡れるのも
もう気にならない





自由詩 マツムシ草 Copyright ぎへいじ 2012-09-23 12:41:54
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