秋分ごころ
木の若芽

「秋分ごころ」
               木の若芽



思わぬ涼しさ しその花草かげに
薄い秋雲の下 まだ固そうなざくろもかきも
どこから見てもかわゆし美し 生り熟れるもの

四季の胸のもっとも広くなる秋よ

彼岸花に火をつけていく 妖精の魔法のマッチ
秋の赤い花の宴も始まり 月は白く太る
月と米の白さ同じ 豊かにまろし

枯れるもの咲くもの うち混じってうららかに光る

すでに字の中に秋ある愁いかな
かなしいのではなくてただただやさしいため
愁いを与えてくれる彼岸の光のありがたさ

不思議にやさしく落ち着いた心で神秘の世界を 秋彼岸という日に

秋分の風にもよおす雨 うながされる花の菊
光咲くかげで ふじばかまの香り立ちのぼる


自由詩 秋分ごころ Copyright 木の若芽 2012-09-22 15:27:04
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