ことのなりゆき
草野春心



  国
  という言葉がいま浮かんだけれど
  どうしたものか思案している



  一ヶ月近く洗っていない
  ランチョンマットには三箇所の染みがついているが
  それでも洗濯するほどでもないと思う
  火をつけたセブンスターがジリジリと言うには
  僕は八割ぐらいは生きているが
  二割ほどは死んでいるらしい



  ひとの心は
  風にも川にも似ていない
  そう思いながら窓の外を見てみると
  数台の車のヘッドライトが
  静かに往来を滑ってゆく
  ことのなりゆきが
  メトロノームのようにカチカチと
  行ったり来たりしている夜








自由詩 ことのなりゆき Copyright 草野春心 2012-09-20 22:23:01
notebook Home