シアンの心
石瀬琳々

夏帽子海辺に白い帆を浮かべ旅に出ようか光ある場所


明日さえ忘れて青い珊瑚礁こえて行き着く島があるなら


迫りゆくたそがれのブルー口寄せる君の目にある海のはるかな


胸の火を灯して、犬とオオカミの時間に抱かれ何も見えずとも


慰めは風に散る花君に似たエウリディケの白い指さき


かき鳴らす思い焦がれるこの心風のギターよみずいろの朝


名も知らぬ夢呼び交わす森にしてオルフェ、オルフェ、夏は過ぎゆく


馬が駆けてゆく馬たち、たてがみをなびかせシアンの心のままに


秋すでに口にふくめば引き潮の浜辺を歩くさびしさを抱く




短歌 シアンの心 Copyright 石瀬琳々 2012-09-20 13:45:03
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
薊道