犬と鳥
……とある蛙

その道の先

途切れた先に海があり
海を覆って空がある
空のなかには窓があり
窓のなかには月がある

その月の先の暗闇に
えも言われぬ雨が降る

二つを分けた雨雲の
そのまた先に海がある
海の彼方に島があり
その島の中に道がある。

道の端には痩せ犬が
飼主のいない痩せ犬が
しっぽを下げて後ずさり
寒くもないのに震えている。

飼い主もいない痩せ犬は
人恋しくて道にいる
それでも怖くて近寄れず
人恋しくて淋しくて
犬は道の端にいる。

その道の先に鳥の群れ
黒い鴉が騒いでいる
何十羽もの凶悪な
目を持つ奴らが騒いでる。

一日の飯にありつけるのは
今では騒ぐ鴉だけ
犬はただ震えている
人恋しくて震えている。


自由詩 犬と鳥 Copyright ……とある蛙 2012-09-20 12:25:58
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