虹の詩
木の若芽
「虹の詩」
木の若芽
1
虹の線路を敷いていく歌声が
高らかに私の口から響き渡っていく
旧型列車は私を扉の外のタラップにすわらせて
家並みをぬけ 木々をぬって
海と空へ突き抜けた
そこに敷かれていくのが虹の線路
二重の虹が
ときに絡み合い
ときにぶつかり合い
波打ち じぐざぐになり
自由に楽しそうに元気よく
列車の前を水先案内する
イルカの動きをするヘビのように
足下はるか下の海岸線が
複雑に切れ込み突き出して
丘になり谷になり崖になっている上を
緑の草木がおおい
人と動物がゆったりと散らばり
しっとりした水気とさっぱりした空気が包んでいる
この光景を喜ぶ歌声を瞬時に授かったように
私は高らかに声を響かせる
美しい天体の歌声が 私の口から発され
虹の線路の七色のヘビは踊り進む
2
古い墓をあばいても何もない
大事なものは生き生きと流れているものにある
空が大地に注ぎ込んでいるところを探そう
未来が過去に注ぎ込んでいるところを
詩で時を歩き、越え、渡っていく
橋は仲間と架ける虹だ
虹が空を大地に注ぐ道なんだ
新しい仲間がそれを見せて教えてくれる
私も真似して一緒に架ける
詩の虹、時の橋を
私の立つ足元の大地に空が注がれる道を