胸に映る景色
木の若芽

「胸に映る景色」
           木の若芽


近所の犬の吠える声
まだやんちゃな子犬だろう
だけどきっとすぐ大きく強くなる
毎朝太陽に向かって吠えているから


鳩の群れが羽音をたててわたしの上を飛んでゆき
その影が腕や顔や胸に映って通りすぎた
だーっと 異界の騎馬隊が体の中を駆け抜けていったよう

散り残った枯れ葉がまばらに枝にふるえている
それを寿いでいるまぶしい青空とわたし


風のない日溜り
一羽の小鳥を驚かせてしまって
いなくなったあとにすわり 空を見ていると
飛んでいったあの小鳥の声が聞こえてくる
光は薄いレース でも羽毛のようにあたたかい
わたしはそれをふわりとまとって
遠くからの小鳥の声にひかれて
精霊の国への道を行く



自由詩 胸に映る景色 Copyright 木の若芽 2012-09-20 09:50:47
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