胸に映る景色
木の若芽
「胸に映る景色」
木の若芽
近所の犬の吠える声
まだやんちゃな子犬だろう
だけどきっとすぐ大きく強くなる
毎朝太陽に向かって吠えているから
鳩の群れが羽音をたててわたしの上を飛んでゆき
その影が腕や顔や胸に映って通りすぎた
だーっと 異界の騎馬隊が体の中を駆け抜けていったよう
散り残った枯れ葉がまばらに枝にふるえている
それを寿いでいるまぶしい青空とわたし
風のない日溜り
一羽の小鳥を驚かせてしまって
いなくなったあとにすわり 空を見ていると
飛んでいったあの小鳥の声が聞こえてくる
光は薄いレース でも羽毛のようにあたたかい
わたしはそれをふわりとまとって
遠くからの小鳥の声にひかれて
精霊の国への道を行く