遠くに見えるもの / わたしはいつまでも分らないのだった
beebee





遠くに星が見えているように
人には遠く目指すものがあるのだと
その男は言った
目は漆黒の闇の奥の奥の
遠い輝きを見詰めていた



ああ
だがその光はどこにあるのかと
わたしは



それは当たり前のところに
人が呼吸をする時に吸い込む空気のように
それは当たり前のところにあるのだと
その男は言った
口元に赤黒い血を滴らせて
その男は確かに言ったのだ



ああ
だかその力はどこにあるのかと
わたしは



だから
一歩前に進めば良いのさ
そうすれば
後はそこに向かって
歩いていける
その男は言った
だって自分には見えているのだから



わたしはいつまでも分らないのだった





自由詩 遠くに見えるもの / わたしはいつまでも分らないのだった Copyright beebee 2012-09-20 07:43:59
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