はるな


ほかでもないあなたと
どうしようもなくなりたい
雨の日に雨だれを数えながら飢えていくのもいいし
乾いた日に蟻をつかまえて拷問するのもいい
湿った毛布のなかで賞味期限の切れたひき肉みたいに絡まっていたい
世の中の美しい言葉を集めて脱水になるまで囁きあいたい
それでも足りなくて牛蒡のように干からびたい
そのあとで失敗した水まんじゅうみたいに溺れたいし
国じゅうの花屋に強盗に入りたい
ほかでもないあなたとどうしようもなく
どうしようもなく食べあいたい
あなたの骨が擦れる音を聞きながら夢を泳ぎたい
あなたがすり減ってしまったらわたしの骨や肉で直したい
あなたの血が多すぎるぶんわたしの血をきちんと捨てたい
ほかでもないあなたの
どうしようもないものになりたい
雨の日に雨だれを数えながら飢えていくのもいいし
乾いた日に蟻をつかまえて拷問するのもいい
そうでなければ
ほかでもないあなたを
見つけて
その隣でただ息をしているのもいい




自由詩Copyright はるな 2012-09-16 22:01:25
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