靄のなかの記念日
平井容子

満ちていったのは目が覚めるほどかすかなもの
心肺機能でふと知った気配から
あなたは学んだ

初期化された土嚢の丘で
それとなく聞きだした秘密は
もう眠ったのかもしれない

ときおりつま先のずるさに震えて
死後にまでつづいていく
抱き寄せたものの硬さとはなんだろう
傷がすべて
傷がすべて

枠の中にある家がある中にあるフラフープみたいな夢
吐いていく
わたしのどの分野にもいない教師が
女生徒の頬をたたくまで

皮膚には必ず穴があいていて
そのことを
些細なわたしはよくわかっている

疲弊した愛はかたつむりのつの

形と影がつかみあいながら
夜へのくのくと倒れていく





自由詩 靄のなかの記念日 Copyright 平井容子 2012-09-16 02:15:02
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