振り返ればそれは宝物でした
乙ノ羽 凛

土の匂いと水のはったばかりの田んぼ
かえるたちの鳴き声、夜には満天の星空と蛍

ドジョウやザリガニやメダカを捕ってたあの頃
泥んこ遊びに鬼ごっこやかくれんぼそしてとっておきの秘密基地

躊躇うこともなく草や木の棒で何か作ったり花の蜜を吸って
百円で買いあさったお菓子たちにおもちゃの取り合いのケンカ

いつからだろう、森や林の中を探索しなくなったのは
いつからだろう、百円がちっぽけに見えるようになったのは
いつからだろう、あんなに大切にしてたおもちゃが見当たらないのは

木々たちは減って行き用水路の水も汚くなってしまった

同じ行為は出来ても枯れた自然や虫たちや魚は戻ってこない
だからこそ子供の頃の思い出は宝物なんだ

今じゃ走るという行為は電車に乗り遅れそうになる時だけかもしれない
子供の頃は絶えず走り回っていたのに

あんなに楽しかったおままごとが通常の生活で当たり前になって
ちょっぴり寂しい気もするけど小さいころの思い出はかけがえのないものだなって
そんな風に思い知らされる今日この頃


自由詩 振り返ればそれは宝物でした Copyright 乙ノ羽 凛 2012-09-14 12:51:00
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