指笛でブルース
砂木

仕事 変わって と
頼むよりはやく移動してくる人

ちょっと待て この間この作業は向かないと
変わったばかりなのに また少し嫌や所にふられて
そそくさと戻ってくる 私は あっけにとられる

かえのいくらでもいる現場作業員
仕事師でもなんでもないし
いい年して もめていてもしょうがない
交代して 集中するように切り替えて作業する
要領よく生きているつもりなのだろうか
でも 本当に損をしているのは あなた

仕事はね 覚えたもの勝ちよ
習うより慣れろ
先輩に教えられながら 現場でやってきた
できない事も多いけど やめられる身分じゃない
しがみついて しがみついて
できなくても やるしかない やってみせるしかない
コネも愛嬌も得もお金もなく 世渡りは綱渡り

私の餌食になれ 新しい仕事 習得は格闘
カッコ悪くて情けなくて 筋肉痛ばかり増え
なれるまで 笑われてばかり でも きっと

一生懸命なんてことして自分に残るのは
自力で身に付けた力だけ
人も環境も待遇も体力も いつか変わる
変わり続ける中 変わらない力を手に入れるのだ
潰す気なら 私の潰しにする
などと無駄に意気込みつつ ヒステリーを抑えつつ

昼休み歯磨きの最中 胸のポケットで携帯電話がなる
みると 会社を辞めさせられた友達から
今は違う会社で昼休み 元気? と 相変わらずに
うん 元気だよと言う より他どうしようもない
遊びにいきたいねと めどはたたないけど言ってみたり

じゃあね でも本当に話したいことは話せない
話すと 負けてしまう

バッサリきられるのならきられるまでに
覚えられるだけ仕事を覚えて とれるだけとる
いやがらせのように しがみつく
それしかできない 現場作業の勤め人だから



 

 




自由詩 指笛でブルース Copyright 砂木 2012-09-11 23:42:06
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