花 火
beebee





ベランダから花火に興じる親子が見えた

遠くで見る花火は寂しい

家族で花火をすると必ず
兄弟で取り合いになる花火があった
必ず最後に残ってしまう花火もあった

いつも両手に花火を握って
種火を待って立っていた
地面に立てたロウソクにかざすと
花火は筒先から火を噴いて
黄や赤や緑の燦めきが
煙と一緒に辺り一面に飛び散った

燃え尽きて光る筒先を振り回すと
光の軌跡が暗闇に浮かび上がって
アニメのような夏休みの記憶を残した

でも見せ場になると
すぐに終わってしまう花火

花火ってやっぱり寂しい

8月のぼくたちはもう時間がないんだ
あわてなくてもいいのに
あっと言う間に終わってしまって
バケツの水に突っ込まれて消えてしまう炎

アパートの裏の駐車場に
鼻を突く火薬の匂い
ジャリジャリと
足下の砂利が音を立てた

やっぱり最後に消えてしまう花火は寂しい

遠くの花火をみてそう思った

 


自由詩 花 火 Copyright beebee 2012-09-11 01:07:29
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