夕暮れじょうず
梅昆布茶
遠いおとこころの音と聞き違えふと振り返れば下りの電車
陸橋を登らずまわる踏切のむこうにみえるあしたの尻尾
高崎から都心をむすぶ銀の矢の止まらぬちいさな駅にたたずみ
湖にうつる一日ながすぎて魚がぽちゃり時をおしえる
学校では教えてくれないことばかり喜び数える算数の式も
夕暮れのカーテン閉めてふと書くことのない一日に出会う
じゃんけんに負けたら明日が来ないならわざと負けよう君と一緒に
最終電車に乗り遅れ明日への切符また買いそびれそう
ちょっと疲れてうたたねしても明日の君からメールがとどく
いつも思う僕には夕暮れよそよそしくて世間話もかわせぬままに
きょうも夕暮れじょうずにくれて忘れ物さえ置きはぐれ