レミングのうた
peau


あまりにも以前に用意されていた絡繰が
突然に動き出す
始まりがなんだったのかなんて
考えるすべもなく

荒野に差す陽が翳り
僕たちは身を寄せ合う
一番柔らかな産毛を逆立て
震える無数の鼓動を重ねて
あるひとつの連動機械を夢想する

僕はきみの眼
きみは僕の手足
僕はきみきみは僕

黄金色に実ったいつかの稲穂が
脳裏に浮かんでは消える
この不安が空腹のせいなら
本当の冬になる前に
氷の女王を殺してしまおうか
それとも
常夏の島を目指して泳ぎだそうか
右耳の集団が南に鼻先を向け
かぐわしい花の香りを探す
背に吹き付ける風が次第に冷たさを増すと
旅立ちには良い日に思えた

空に散る
僕の手足
きらきらと光る水面を反射する
きみの眼で
ずっと見ている





自由詩 レミングのうた Copyright peau 2012-09-10 04:53:08
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