トロピカルな未来
灰泥軽茶
目を閉じて
瞼の裏で泳ぐ半透明の熱帯魚
朧げな景色
緑に覆われた朽ち果てた遺跡の中で
私はとても柔らかい座布団に座っている
宙には
カップ麺の容器がたくさん浮いており
中を覗くと底がない闇に
無数のカラフルな熱帯魚たちが
おもいおもいに泳いでいる
手で掬おうと手を伸ばすと
掌から二の腕へ
吸いこまれるように流れこみ
体内に無数のカラフルな熱帯魚たちが
泳ぎまわり
陽気なスティールパンの音が連打され反響し
トロピカルな明滅と共に
私は分解され
底がない闇に自由自在に流れて散っていく