空気人形
三奈
空気人形、という言葉に
いつしか親近感を覚えるようになっていた
乾いた言葉たち
伝えたいことなどなにもなく
空気と同化するだけの日々
私の中身もきっと空気でできているに違いない
空っぽの心臓
空っぽの時間
空っぽだらけの私の名前は
今日も一度も呼ばれないまま
空気を吸っては吐くのです
せっせと仕事をこなすのです
空気人形、その言葉に
親近感を覚えたのはいつからだろう?
身動きがとれない部屋
その部屋に押し込まれた瞬間
私はいつも考えてしまう
空っぽの人間などではなく
いっそのこと
本物の空気人形になりたい、と