の果てに
もっぷ

良かった恋なんてひとつもなかった
流行歌は嘘つきだ
恋を嫌いになるために
わたしはいままで恋をしてきた

会いたいひとがいない過去しか
持っていないことの貧しさは
愛を知らないままに置き去りの
箱に入った猫とおんなじ

ある、奈良の公園でわたし
みたんです真夏の茹だるなかで
箱のなかのそのいのちたちは
まだ

生きていたんです

どろどろに溶けて
どろどろの地獄で
それでも声帯だけはのこされ
必死で

生きたいよ…



良かった恋を懐きたかった
恋の思い出ほしかった
ときどきそっとうつむいて
いまも好き、って言ってみたい

会いたいひとがほしかった
それがいま目の前にいる
あなたなんですとうそぶいて

行きずりの愛をささやきたい
行きずりの思いにまかせたい


自由詩 の果てに Copyright もっぷ 2012-09-05 19:32:25
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