秋のワイン
木の若芽

「秋のワイン」
           木の若芽

ぶどうの木に宇宙が実っている
一粒一粒の小宇宙の魂が
ほろ苦く ほの甘く かすかにすっぱい
この味こそ宇宙の味わいだ
だが宇宙の香りについて
まだわたしには謎

草木は葉も花も実も種も
それぞれになんと香っていることか
その香りが太陽と風と土の
力あふれる恵みを人にも伝えてくる

気がつくと自ずと自然の恵みに感謝していた
そんな世界になるように
祈りを楽しみながら 思いを安らぎながら
舌にしみるワインの滋味が
体の中に響いて響いて
歌になっていく

晴れても降っても 花はうれしい
元気でも疲れ気味でも ワインはうれしい
花とワインがある限り 世界はきらめき人の心は輝く

新しい花が咲いたら
それはわたしにも新しい力が生まれたしるし
こうして世界とわたしは互いに映り合い
久しぶりの快く晴れた空に復活する

一番したいことは雑木林を歩くこと
思いきりワインに酔いながら
酔うほどに自然へ飛んでいきたい

コスモスの野
ひすいの鳥
実を落とす木
この秋のワインの味を忘れまい



自由詩 秋のワイン Copyright 木の若芽 2012-09-04 09:59:19
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