君らとはもうやってられない
番田
ひとりでいるときに風が吹いていた
夢を見ることが 虚しい
こうして遠くを行く雲を見ていることのほうが楽しかった
なぜなのかはわからないけれど そうだった
山手線で街行く人たちを眺めていた
人との金銭のやりとりはまるでゲームのようだった
きっと 経済なんて そんなもの
通り過ぎていく人に 存在意義など残さない
*
そして 上野で ある日の月曜日
売春目的の女とホテルへ歩いていた
僕は 何か疲れていた
ただ帰る気力もなく人混みを流れていた
見えているものとはなんだろう
目に見えないものを 人は求めているというのに
見えているものの世界を 生きている
僕には すべてが 間違いなのだとわかる
色が揺らめいていた
音楽が壁にぶつかって室内で乱反射している
東京は自殺者しか生み出さない街だ
そうではないという君の主張は寂しい
*
コンベアに載って白いエンガワが流れてくる
僕は それを つかみそこねた
本屋を流れている音楽が違うジャンルに変わるまで
いつまでもここで腕を組んでいようと思う
夜は 五反田で裏風俗を探索している
そうしては マップを開いて 行った店をメモしている
立ちんぼが立っているエリアは回遊しているようだった
誰を選ばされることもなく
ぼんやりと 歩き続けていた
お目当ての子に当たることは 誰にも出来ない
逃げ続けることだけが真実なのかもしれない
それとも 負けることが分かっている勝負を戦うのか
コンビニに入ってもエロ本を味わうことは出来ない
公衆の面前で そうするスリルを味わうことは難しくなった
嫌な奴ばかりだから会社を辞めるというのはアリだった
そうである人間の方が多いのかも知れないが
これは 良くない状況だと思う
すすきので精神の浄化を図るべきだ