君らとはもうやってられない
番田 


ひとりでいるときに風が吹いていた
夢を見ることが 虚しい
こうして遠くを行く雲を見ていることのほうが楽しかった
なぜなのかはわからないけれど そうだった


山手線で街行く人たちを眺めていた
人との金銭のやりとりはまるでゲームのようだった
きっと 経済なんて そんなもの
通り過ぎていく人に 存在意義など残さない



そして 上野で ある日の月曜日 
売春目的の女とホテルへ歩いていた
僕は 何か疲れていた
ただ帰る気力もなく人混みを流れていた


見えているものとはなんだろう
目に見えないものを 人は求めているというのに
見えているものの世界を 生きている
僕には すべてが 間違いなのだとわかる
色が揺らめいていた
音楽が壁にぶつかって室内で乱反射している
東京は自殺者しか生み出さない街だ
そうではないという君の主張は寂しい



コンベアに載って白いエンガワが流れてくる
僕は それを つかみそこねた
本屋を流れている音楽が違うジャンルに変わるまで
いつまでもここで腕を組んでいようと思う


夜は 五反田で裏風俗を探索している
そうしては マップを開いて 行った店をメモしている


立ちんぼが立っているエリアは回遊しているようだった
誰を選ばされることもなく


ぼんやりと 歩き続けていた
お目当ての子に当たることは 誰にも出来ない


逃げ続けることだけが真実なのかもしれない
それとも 負けることが分かっている勝負を戦うのか
コンビニに入ってもエロ本を味わうことは出来ない
公衆の面前で そうするスリルを味わうことは難しくなった


嫌な奴ばかりだから会社を辞めるというのはアリだった
そうである人間の方が多いのかも知れないが
これは 良くない状況だと思う
すすきので精神の浄化を図るべきだ




自由詩 君らとはもうやってられない Copyright 番田  2012-09-04 02:06:42
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