紫の 十字路
藤鈴呼


壊れた蛙になって 何時までも 浮遊する
ぷかぷかと 葉巻を流れた煙の先に
紫の 十字路

オレンジは 爽やかな季節の 代名詞だから
今は 要らないと言ったのに
まあまあ 夜なんだから 御免なすってえ
我慢しやさいな なんて声が 響く道

照らされた信号機は 勿論 血の色だから
ドクドクと流れる衝動を 
水掻きした過去の波と 勘違いしながら 進む

足元に カモメ
透明な 羽ばたき
消雪パイプってのは 便利なんですけれども
えんかり とか えんかる とか言う代物が
ボディーを錆びつかせちゃって こりゃあ イケネェ

正式名称は 塩化カルシウム
演歌では ございあせんから
謳い出さないで おくんなせぇ

相槌 打つくらいならば 得意なんですけれども
微妙なテンションで
太鼓ばかし 叩き切ってると
そのうち 撥が 当たりやすぜ

なんて 右上がりの イントネーションで 
呟いてから ニヤリと笑う
そのテンションが たまらなく好きなんだと
隙だらけの横顔が 哀しく光るから
どうも 切ない

カモメは カモメ
海沿いの 町ですからね
山沿いの 庭園には
大きな鴉も 来園するんですよ

珍しい鳥かと思った お客様が
これ 何ですか なんて 興味津々な笑顔で
即座に横から カラスですよ、なんて
冷たい声が 響けば

凍りかけた湖の隙間が パリンと応じる
神の道は 本当に 有ったんですかいねぇ

今年も ダイヤモンド・ダストなんて
オシャレな存在には 出会えませんでしたと
肩を落としながら

落ちるのにも 意味が有るのさ フォークボール
てやんでえ カーブの持ち方もシラネェで
だんご持ちしているキャスターさえも 笑えない
あたしゃ だんご餅が 大好きなんですよ

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自由詩 紫の 十字路 Copyright 藤鈴呼 2012-09-03 19:45:02
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