鞦韆(ぶらんこ)
yo-yo

古い家の梁に
ロープを掛けただけの
私の特製ぶらんこ
ゆらゆら揺れているのが好きだった


目をつぶると
ぶらんこの旅がはじまる
家ごとゆらゆら揺れて
私は遠いところまで行ってしまう


ときどき私を静止しようとする
母の声がきこえる
そんなにゆらゆらしたら
この家が潰れてしまう、と。


いまも庭の欅は揺れているだろうか
古いぶらんこは揺れているだろうか
今は母がひとり
その家に住んでいる


おまえのせいで
家がゆらゆら揺れているよ
わたしはもう
畳の上を歩くこともおぼつかない、と。







自由詩 鞦韆(ぶらんこ) Copyright yo-yo 2012-09-03 06:16:10
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