「空想距離・フラクタル次元の無限性のような幾何学的幻想」
ベンジャミン







水平線を断ち切るように見上げる


加速してゆく時代は
小さな出来事をかき消して
紙の上の真実は風に飛ばされてしまう


     ※


(渡り鳥が故郷を忘れないのは何故だろうか)


いつか僕らが生まれた場所が
すっかり姿を変えてしまったら
帰る道を辿ることはできないだろう


海は
その深さを隠している


空は
その高さを誇っている


(僕らはきっと ずっと憧れている)


後戻りができない時間と似て
とても正しく
とても切ない


そして どこか寂しい


海から飛び立つ飛行機を眺めながら
運ばれてゆく人を思うとき

違う高さを飛んでゆく海鳥の背は
けして重なることはなかった
  

そんな錯覚の中で
どこまでも広がってゆくものを
誰かが

空想と呼んだ


誰もが自由に飛べる世界を
やさしくふちどりながら


こうやって どこまでも

 


自由詩 「空想距離・フラクタル次元の無限性のような幾何学的幻想」 Copyright ベンジャミン 2012-09-02 22:25:00
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