桜加減を もう一度
藤鈴呼


桜色のファブリーズ
求めたのは 春の 語らい

風が 冬の匂いを 撒き散らす 
その代わりに

白が 消毒液を 連想される 
場所を 離れて

もともとは アロマ成分を
重視してなかったそうな

主婦が 一吹き 部屋に 
パシュっと 放つのは

日頃の行いを 振り返る瞬間と
何故か 重なるのね

雑巾という名前は 
何だか 雑な布のイメージで

あんまり好きに なれないんだ
と 言いながら

カラフルな ステッチを 
繰り返す

自然に 紡がれた 花一輪が 
心に 浮かぶ船

汚い床を 綺麗に磨き上げようと
液体を混ぜて 拭き込んだ刹那

込み上げる 涙の代わりに 
映るのは

笑顔の自分と 
爽やかな 隣人達の 空気感

そうして出来た 
消臭・アロマ・ファブリーズ

リセッシュと どちらが違うか
私には 説明できない

成分が 違うの
作り手が 違うの
互い違いの パズルなの

消臭利器が 有名になって
坊やソングも 跳ね上がる町で

冷風を ものともせずに
軽やかな 白い息 弾む
海沿いの 町で 弾んだ

桜色のファブリーズ
求めたのは 
まろやかな 味わいだったのに

ソフトクリームも連想できぬ
何だか もたっとした 甘ったるさ

甘ったれだなんて烙印を 押さないでよ
幼い私は 波を浮かべる 術も 知らない

寒いから 
惜しくらまんじゅうしながら

苺大福を 待ち侘びるしか 
仕方ないじゃない

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自由詩 桜加減を もう一度 Copyright 藤鈴呼 2012-09-01 14:16:27
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