美事な意地
木の若芽

「美事な意地」
             木の若芽


告白したい

みんなを愛しているのに 一人でいたい
つながりたいのに 孤独を求める
感謝していながら 愛想がない
人でありながら 植物のようであることを

この世にいるのに あの世も親しい
不器用で 想像にふけり
無欲で 空っぽであることを

このありのままで
みんなの前にいることを許してほしいと願う
小さな木の若芽だということを

存在は小さなままでありたいと望み
心だけ内に深く深まり
広く広がりたいと祈っているということを

それが偽りない本心だということを
そうしてあの柳とけやきと同じく
新しい地に生え移ろうとしていることを

きゃしゃな茎葉から豊満な花を咲かす
さるすべりの美事な意地
ぎこちなくいじけて見えてもたくましい、りりしい花を咲かせつづける
さるすべりを深く愛する今日

香りない花にある気高さを語る言葉がなくて
つくづく白い雲を眺める

雲の下で晩夏の木々は
枝の柄 下向いて垂れ
ゆらゆらと紅色をふるわせる

告白したい
何があろうと勇気はある
あきらめないことを


自由詩 美事な意地 Copyright 木の若芽 2012-08-31 15:00:20
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