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イシダユーリ
夏
おそいかかります
路地では
放水があって
みなが
逃げた
きみのくれた
お菓子には
黴が
はえていた
唾ごと
吐きだして
何度も
コンクリートに
頭を叩きつけて
謝った
取り返しのつかない
ことをしてしまった
「これって よくできた CGじゃないの?」
思っていたんだ
と言っていた
夏
路地に
転がっている
身体に
顔を寄せて
胸が上下している
「安心した」
明日には
もう白く冷たく
なってしまっているかも
しれないのに
「助けない」
諦める は
諦めない を
殴りつけ 引きずりおろす
「人間って よくできた CGじゃないの?」
放水があった
嬉しがることは
はばかられた
夜には
しけた花火が
草花をまねて
かろうじて
わたくしは
誰かを
頭のなかに
打ち上げた
かろうじて
ではなく
正常の
範囲で
息
指輪でなぐるな
きみの
ごつごつした
たましいでなぐれ
「CGじゃない わかってた ほんとうは」
がつがつ
骨
鳴らしながら
やっつけろ
「あれ しらないひと」
同棲しているひとを さししめす
「あれ しらないひと」
「だけど やさしいんだ」
「やさしい」
と言って 通行人につきとばす
フロック
フロック
Just fall fall fall fallen
フロック
弱くて醜く
かといって
純粋さも思慮も持たず
美というものから
表面も内面も遠く
かけはなれた
フロック
皮膚病もちの
フロック
わたしたちの伝染病で
みんなが殺処分されますように
I can fly
どちらかを選ぶとき
どちらかを選ぶ根拠など
ひとつもありませんように
選択が
数千の吹き矢になって
わたくしに
突き刺さりますように
フロック
You can't fly
Just fall
fallen
わたくし自身が
わたくしを
完全に見捨てますように
フロック
「やさしいんだ CG かも しれない」
泣くこともできない