涙
きみのてを
オレンジの月を見ました。
「月が綺麗ですね」
そうあなたに言いました。
真っ青な太陽を見ました。
「とても素敵ですね」
そうあなたに言いました。
いつまでもいつまでも
隣にいるあなたに語り掛けました。
日が暮れても日が昇っても
傍にいるあなたに話しかけました。
ある日「好きです」と、
突然言ってみました。
春の木陰で
そうしたらあなたは
初めて私の方を見て
「もう忘れていいよ」と、
とても優しい笑顔で
最初で最後の笑顔で
私に
囁きました。
さようなら。
それも言わず言えず
それが別れなのだと
あなたが消えた後に
初めて
気付きました。
ああこれが
涙。