きみのてを


オレンジの月を見ました。
「月が綺麗ですね」
そうあなたに言いました。

真っ青な太陽を見ました。
「とても素敵ですね」
そうあなたに言いました。

いつまでもいつまでも
隣にいるあなたに語り掛けました。
日が暮れても日が昇っても
傍にいるあなたに話しかけました。

ある日「好きです」と、
突然言ってみました。
春の木陰で

そうしたらあなたは
初めて私の方を見て
「もう忘れていいよ」と、
とても優しい笑顔で
最初で最後の笑顔で
私に
囁きました。

さようなら。
それも言わず言えず
それが別れなのだと
あなたが消えた後に
初めて
気付きました。

ああこれが
涙。





自由詩Copyright きみのてを 2012-08-28 14:19:31
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