ぼくたちはきっとうそつきなカナリア
中山 マキ













青白い空に浮かぶ月は
境界線を見つけられないまま佇んで
何処ともなく
向き合わずに消えて行く
酷くひっそりと
動き始めた世田谷
バナルじゃないと
長く暮らせない
吸い慣れた煙草
マルボロメンソールが
身体の奥へと
染みて行くように
愛し合い続ける裏にある
確かな矛盾に負けそうになる
三宿の交差点に佇む
数億円のマンションから
うそつきなカナリアが羽ばたいて
太陽に焼かれて落ちていく
ぼくたちはそんな現実さえ
悲しいとも思わなくなって
図らずも存分な
うそつきになっていた













自由詩 ぼくたちはきっとうそつきなカナリア Copyright 中山 マキ 2012-08-27 18:21:28
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