沈下
ブルーベリー

やわらかい光のいろを
とらえそこねて
やわらかな泥に沈む
やさしく頬を埋めるので
嘲笑にも目を閉じる
怠惰にしがみついている
その手首が冷え切って
棘が刺さるように
痛むのにさえ
目を閉じている

絆されている
騙されている
そう糾弾するのはたやすくも
痛む手からシーツは離れない
蛍光灯の下に浮上する意識は
セイジョウとは程遠い

撒かれては水面に浮かび
汚泥からは何も咲かない

ビニール袋の白の中で
黒い菌が繁殖して
音を立てるのを
横目で見て
饐えた臭いの泥の手招き
引き寄せられ
とぷりと沈む

爪の間
皮膚の隙間
染み込んだ
君の泥は
漂白剤でも
落ちず
脊髄まで
痺れさせたまま
香っているよ

光が閉じた日


自由詩 沈下 Copyright ブルーベリー 2012-08-26 18:57:06
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